不動産売却した際の確定申告について解説
不動産を売却して利益が発生したら、原則、確定申告が必要です。ただし、すべての不動産売却で確定申告が必要なわけではありません。
そのため、給与所得者などで普段から確定申告に慣れていない方は、手続きや税金の計算方法に戸惑うケースもあるでしょう。
そこで今回は、不動産売却した際の確定申告が必要なケースや手続きの流れについて詳しく解説します。不動産売却を行った方は、ぜひ最後まで記事を読み、確定申告の準備をしてください。
不動産売却で確定申告が必要なケースと不要なケース
ここでは、不動産売却で確定申告が必要なケースと不要なケースを紹介します。
ペナルティを避けるためにも、自身のケースをしっかりと把握し、確実に申告の有無を確認しましょう。
必要なケース
確定申告が必要なケースは、不動産の売却によって売却益が発生した場合です。売却益は「譲渡所得」として扱われ、所得税の対象です。
ただし、ここでの売却益とは、単に不動産の売却代金そのものを指すのではなく、売却代金から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いた利益を指すため、売却益が発生しないケースもあります。売却益が発生しない場合は確定申告の義務はありませんが、特例の適用には確定申告が必要です。不動産売却による損失をほかの所得と相殺できるなど、節税効果が高いため、適用条件に該当するのか確認しましょう。
なお、譲渡所得税は、譲渡所得に対して課される税金であり「所得税+復興特別所得税+住民税」の総称です。譲渡所得は申告分離課税に基づいて、給与所得や事業所得などとは別に計算します。給与所得などがある人は、確定申告書とは別に分離課税用の書類も作成しましょう。
また、建物の場合は年数経過による価値の減少を考慮し、減価償却費を差し引いて計算する必要があります。ほかにも、所有期間が5年を超えるか否かによって、住民税および所得税の税率が異なるため注意しましょう。
不要なケース
確定申告が不要なケースは、譲渡損失が生じる場合です。譲渡損失とは、不動産の売却価格が取得費を下回る場合に発生します。
ただし、確定申告により各種所得との損益通算が行われ、税金を削減できる場合もあります。譲渡損失の金額や次年度以降の減税効果などを総合的に判断するとよいでしょう。
確定申告する時期
譲渡所得の確定申告期限は、不動産を売却した日の翌年2月16日から3月15日までです。
なお、売却者に引き渡した日を基準にして申告しますが、売買契約に基づいて不動産を引き渡した日でも申告が可能です。たとえば、2023年12月に契約が成立し、2024年3月に引き渡した場合、確定申告は2025年に行います。
ただし、2月15日前でも、マイホームの売却損失がある場合や損益通算、繰越控除の特例が適用される場合は所得税の還付申告が可能です。
不動産売却時の確定申告5つの流れ
不動産売却した際の確定申告の流れについて詳しく解説します。手順をきちんと把握し、正確な申告を心がけましょう。
必要書類を用意する
不動産売却時に必要な書類は多岐にわたります。具体的には、確定申告書(第一表・第二表・第三表)や売買契約書、譲渡所得の内訳書などの書類が必要です。
なお、確定申告に必要な書類は、特別控除の申請や損益通算の有無によって異なります。たとえば、軽減税率の特例を受ける場合には、譲渡所得の内訳書や売却した不動産の登記事項証明書、戸籍の附票の写しなどの書類を揃えることで、特例を適用できます。
国税庁が提供するチェックシートを確認し、必要な書類を用意しましょう。
譲渡所得税額を計算する
譲渡取得税額を計算する前にまずは、譲渡所得額を計算します。譲渡所得額は、不動産の売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額です。取得費とは不動産を取得する際に支払った費用であり、譲渡費用は売却に直接かかった費用です。主な譲渡費用には仲介手数料や立退料、印紙などが含まれます。
次に、課税される譲渡所得額を計算します。課税譲渡所得額は、売却価額から取得費と譲渡費用を差し引いた金額に特別控除を適用したものです。特別控除には、居住用住宅売却時の3,000万円の特別控除などがあります。
最後に、課税譲渡所得額に所有期間に応じた譲渡所得税率を乗じて譲渡所得税額を計算します。なお、所有期間に応じて、所得税と住民税は異なる税率が課せられます。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得となり所得税15%、住民税5%です。5年以下の場合は短期譲渡所得となり所得税30%、住民税9%となります。5年を境に税率が異なるので、売却のタイミングに注意しましょう。
申告書を作成する
税額が分かったら、確定申告書を作成します。不動産売却の税金計算は複雑ですが、誤りがないよう、該当する項目を適切に記入しましょう。
なお、確定申告作成に不安がある方は、管轄の税務署や相談窓口でも質問が可能です。
税務署に確定申告書を提出する
書類が整ったら、納税地の税務署に提出します。
確定申告書は、所轄税務署に直接申告書を持参して窓口で提出するかインターネットを利用した電子申告(e-Tax)、郵便または信書便を使用して所轄税務署に郵送、所轄税務署に設置されている時間外文書収受箱(夜間文書収受箱)に投函する方法から提出が可能です。
税務署の開庁時間は、祝日などを除いた月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時までです。e-Taxを利用する場合、申告期限である3月15日の日付が変わった16日0:00以降に行われると「翌日扱い」となります。送信時にアクセスが集中した場合など、動作が遅くなる可能性があるため、余裕を持って送信することが重要です。
なお、郵送の場合、消印が3月15日であれば有効とされます。
納税する
譲渡所得税の納付期限は申告期限同様、3月15日までです。納付期限内に所得税を納付しなければいけませんが、国税庁から納付書などのお知らせが送られてくることはありません。現金での納付を忘れそうな場合は、あらかじめ金融機関口座を指定する振替納税を利用しましょう。
なお、還付がある場合は、申告から1〜2か月後に指定した口座に入金されます。e-Taxでは、通常よりも早く約2週間程度で還付が行われます。
不動産売却時の確定申告における注意点
確定申告を故意にしないと、ペナルティが課せられます。主なペナルティには「無申告加算税」と「延滞税」の2つがあります。
無申告加算税は、確定申告を怠ったことによるペナルティです。確定申告の必要性があるにもかかわらず、期限内に手続きをしなかった場合は、納付すべき税額の一部に15%から20%の税率が加算されます。
延滞税は、納付期限を過ぎた場合に課されるペナルティで、日数に応じて利息に相当する税金が課されます。また、期限後に申告や修正申告を行った場合にも延滞税が発生するため、期限内に確定申告と納付を行うことが重要です。
仮に、災害などの特別な事情がある場合は、所轄税務署長に「所得税の申告等の期間延長申請書」を提出することで申告期限の延長が申請可能です。承認を受けられれば、該当する事由が終わった日から2か月以内の範囲で期限延長が認められます。
まとめ
不動産を売却して利益を得た場合は、必要に応じて確定申告を忘れずに行いましょう。
なお、売却額からは所得費や譲渡費用、特別控除を差し引けますが、損失が生じた場合でも、確定申告を行うことで損益通算や繰越控除が可能となり、税金の還付が行われるケースもあります。そのため、不動産を売却する際には、確定申告手続きも含めて計画を立てることが重要です。
確定申告に不安がある場合は、早めに税務署や税理士に相談し、適切な申告を行いましょう。
「できるだけ高く売りたい!」 「法律に関する知識がないけど大丈夫?」 「何から始めればよいかわからない」 売却するにあたり数々のご不安があるかと思います。
そのような方に向けて、京都市でおすすめの不動産売却業者を紹介しております。 ご検討されている方は一度おすすめの業者を探してみてはいかがでしょうか?